今回は、少し趣向を変えて、「本と人の、長ーい物語」についてお話ししましょう。
私たちが今、当たり前のように手にしている「本」。
でも、昔からこんな形だったわけじゃないんです。
石だったり、羊の皮だったり、ときには「人の声」そのものが本だったり…。
さあ、想像のタイムマシンに乗って、読書の歴史をめぐる冒険に出かけましょう!
~言葉のバトンをつなぐ、歴史の旅~
その1:本がない時代の「声の読書」
大昔、まだ文字も本もなかったころ。
人々はどうやって物語を楽しんでいたと思いますか?
答えは、「声」です。
夜、焚き火(たきび)を囲んで、おじいさんやおばあさんが、子供たちに昔話をしていました。
「昔々、勇者がいてな…」
「神様が、この世界を作ったときはな…」
人々は、耳で聞いて、頭の中で想像して、それを一生懸命に覚えて、また次の世代へとお話をして聞かせました。
これを「口承(こうしょう)」と言います。
最初の読書は、目で読むものではなく、「耳で聞いて、心で読むもの」だったんですね。
その2:石や粘土に刻まれた「重たい手紙」
やがて、人間は「文字」を発明しました。
でも、今みたいに便利な紙はありません。
昔の人(メソポタミア文明など)は、柔らかい粘土(ねんど)の板に、植物の茎で文字をグッと押し付けて書いていました。
これを焼いて固めると、「粘土板(ねんどばん)」という本の出来上がり!
でもこれ、とっても重たいんです。
それに、もし落としたら割れてしまいます。
この頃の「読書」は、王様や一部の学者さんだけの特別なものでした。
「知識」は、とっても重くて、持ち運ぶのが大変なものだったんですね。

その3:羊の皮と、手書きの時代
時代は進んで、ヨーロッパの中世という時代。
この頃の本は、「羊皮紙(ようひし)」という、羊の皮を薄くなめしたものに書かれていました。
印刷機なんてありませんから、修道院(しゅうどういん)という場所で、お坊さんたちが毎日毎日、手書きで本を書き写していたのです。
一冊の本を作るのに、何ヶ月、何年もかかりました。
だから、本は家が一軒買えるくらい、とんでもなく高い宝物!
本は鎖(くさり)で机につながれていて、選ばれた人しか読むことができませんでした。
「知識」は、まだ一部の人だけの秘密の宝物だったのです。
その4:世界を変えた「魔法の機械」
今から600年くらい前(15世紀半ば)、ドイツのグーテンベルクさんという人が、すごい発明をしました。
「活版印刷(かっぱんいんさつ)」です。
これは、ハンコのように文字を組み合わせて、機械で何枚も何枚も、同じページを刷ることができる技術です。
これによって、今まで手書きで何年もかかっていた本作りが、あっという間にできるようになりました。
本がたくさん作れるようになると、値段も安くなります。
今まで本を読めなかった普通の人たちも、聖書や物語を読めるようになりました。
「知識」が、みんなのものになった瞬間です。
これは、インターネットができた時と同じくらい、すごい革命だったんですよ。
その5:そして、ポケットの中の図書館へ
そして現代。
紙の本はもちろん、今ではスマートフォンやタブレットで、いつでもどこでも本が読めるようになりましたね。
「電子書籍(でんししょせき)」の登場です。
重たい粘土板も、高価な羊の皮もいりません。
ポケットの中に、何千冊、何万冊という本を入れて持ち歩けるなんて、昔の人が聞いたらきっと腰を抜かすでしょう。
「魔法使いのポケットみたいだ!」ってね。

記事のまとめ
読書の歴史、いかがでしたか?
形はどんどん変わってきましたが、変わらないものもあります。
- 始まりは「声」から: 読書は、人と人がお話を楽しむことから始まりました。
- 知識の大衆化(たいしゅうか): 重くて高価だった本は、印刷技術のおかげで、みんなの手元に届くようになりました。
- 心をつなぐバトン: 粘土板でも、スマホでも、「誰かの思いを受け取る」という目的は、今も昔も変わりません。
私たちは、長い長い歴史のバトンを受け取って、今ここにいます。
あなたが今日読む一冊は、何千年も前の人たちが「伝えたい!」と願った、その思いの結晶なんですよ。
【最後に】
今日も最後まで読んでくれて、本当にありがとう。
こうして文字を通じてあなたとお話しできるのも、歴史を作ってくれた先人たちのおかげですね。
次に本を開くとき、「この一冊が私の手元に来るまでに、すごい歴史があったんだなぁ」って、ちょっとだけ思い出してくれたら嬉しいです。
そうすると、いつもの読書が、もっとロマンチックな時間に変わるかもしれません。
それでは、また本の旅でお会いしましょう!


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