【要約】嫌われる勇気|承認欲求を手放して自由になる3つの考え方

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手からほどけた「いいね」マークが空へ飛んでいき、軽い足取りで前に歩き出す子どものイラスト 人間関係・心理学

「友達に嫌われたらどうしよう」

「先生にほめられたいから、宿題をがんばっている」

こんなふうに、人の目が気になって疲れてしまうこと、ありませんか。

今回紹介する『嫌われる勇気』は、その疲れの正体と、そこから自由になる方法を教えてくれる本です。

タイトルを見て「わざと嫌われろということ?」と思うかもしれませんが、ちがいます。「嫌われることをこわがらずに、自分の人生を生きよう」という、とても前向きな本なのです。

世界中で500万部以上も読まれている大ベストセラーの中身を、小学生にもわかるようにやさしく解説します。

この本ってどんな本?

本の名前嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え
書いた人岸見一郎(きしみ いちろう)・古賀史健(こが ふみたけ)
出版社ダイヤモンド社(2013年12月)
どんな話?「哲人(てつじん)」と「青年」の2人が語り合う形で進む、アドラー心理学の入門書
こんな人に人の反応や顔色が気になってしまう人/そのことに疲れている人

実はこの本、最初に刷られたのはたった8,000冊でした。そこから口コミで広がり、日本だけで228万部、世界では500万部を超えるベストセラーになりました(2020年7月時点)。

この記事でわかること

  • なぜ私たちの悩みは「人間関係」からやってくるのか
  • 過去のせいにしなくてよくなる「目的論(もくてきろん)」
  • 人間関係が一気に楽になる「課題の分離(かだいのぶんり)」
  • 「ほめる」より「ありがとう」のほうが効く理由
  • 実際に読んだ私が変えたこと(体験談)

1. 悩みはぜんぶ「人間関係」からやってくる

この本を書いたアドラーという心理学者は、とてもはっきりした言い方をします。

「人間の悩みは、すべて人間関係の悩みである」

ひとりぼっちなら、悩みは生まれない?

人間は、ひとりでは生きていけない生き物です。学校でも、家でも、会社でも、かならず誰かと一緒にいます。

だから、どこにいても人間関係の悩みからは逃げられません。

とくに今は、SNSが当たり前の時代です。「いいね」がほしい、という気持ちは、昔よりずっと強くなっているかもしれません。

人の期待に応えつづけると、どうなる?

まわりに期待されたとおりに動きつづけると、どうなるでしょうか。

アドラーは、こう言います。それは「他人の人生を生きている」のと同じだ、と。

自分の時間なのに、自分のために使えていない。だからこの本は、「人に認められたい気持ち(承認欲求:しょうにんよっきゅう)を手放そう」と語りかけてくるのです。

たくさんの「いいね」マークや吹き出しに囲まれて、疲れた顔で立っている子どものイラスト

2. 「過去のせい」にしなくていい〜目的論(もくてきろん)〜

この本がおもしろいのは、世の中でよく言われていることを、あえて否定するところです。

「昔こうだったから、今こうなんだ」は本当?

私たちはよく、こんなふうに考えます。

  • 「親がケンカばかりだったから、自分は幸せな家庭を作れない」
  • 「昔から暗い性格だから、人と楽しく話せない」

過去の出来事が、今の自分を決めている——この考え方を「原因論(げんいんろん)」と呼びます。

ところがアドラーは、これを真っ向から否定します。そして、代わりにこう言うのです。

人の行動を決めているのは、過去ではなく「今の目的」だ。

これを「目的論(もくてきろん)」と呼びます。

「怒鳴る上司」で考えてみよう

ミスをした部下を、大声で怒鳴る上司がいるとします。

原因論で考えると——「部下がミスをしたから、怒鳴った」

目的論で考えると——「部下に言い返させたくないという目的があるから、怒鳴った」

どちらが正しいでしょうか。ヒントは、同じミスでも、静かに注意する人がいるということです。

その人には「おどして黙らせたい」という目的がありません。だから怒鳴らないのです。つまり、怒鳴るかどうかを決めているのはミスではなく、その人の目的のほうだった、というわけです。

「性格のせい」も、実は言い訳かもしれない

人前で話すのを避けてしまう人がいます。

アドラーに言わせれば、それは昔の失敗が原因なのではありません。「話して失敗して、嫌われたり傷ついたりしたくない」という目的が先にあるのです。

そして、その目的のための言い訳として、「昔から暗い性格だから」という過去が持ち出されている——というわけです。

正直に言うと、この考え方を知ったとき、今までの言い訳を全部見すかされたようで、少しドキッとします。

でも、裏を返せばこういうことです。過去が関係ないのなら、人生は今この瞬間から変えられる。 これは、とても勇気が出るメッセージでもあります。

来た道を引き返すのではなく、その場でくるりと向きを変えて、明るいほうへ歩き出す男の子のイラスト

3. 人間関係が楽になる「課題の分離(かだいのぶんり)」

では、どうすれば「嫌われること」をこわがらずにいられるのでしょうか。

そのための具体的な方法が「課題の分離」です。

馬を水辺に連れていくことはできる。でも……

本の中に、こんなたとえが出てきます。

「馬を水辺に連れていくことはできる。でも、水を飲むかどうかは馬が決める」

友だちに優しくすること。これはあなたの課題です。

その友だちがあなたを好きになるかどうか。これは友だちの課題です。

だから、あなたが悩む必要はない。そういう考え方です。

「誰の課題か」を見分けるコツ

見分け方は、とてもシンプルです。

その結果を、最後に引き受けるのは誰か。 それを考えてみてください。

  • 勉強をがんばる → 成績という結果を受け取るのは自分。自分の課題
  • 親が将来に口を出す → 心配するという気持ちを引き受けるのは親。親の課題

人間関係のトラブルは、他人の課題に土足で踏みこんでしまうことから起きている、とアドラーは言います。

だから「嫌われること」を恐れなくていい

課題の分離ができるようになると、こう思えるようになります。

誰かに嫌われるかどうかは、そもそも相手の課題。自分にはどうすることもできない。

どうにもできないことで悩むのをやめる。それだけで、心はずいぶん軽くなります。

とはいえ、頭で分かることと、実際にできることは別です。「これは相手の課題だから」と割りきるのは、正直かなり難しいと感じます。それでも、意識するだけで少し楽になる場面は、たしかにあります。

馬を水辺まで連れてきたあと、少し離れて静かに見守っている子どものイラスト

4. 「ほめる」より「ありがとう」が効く理由

アドラー心理学には、ちょっと意外な提案があります。

「人をほめてはいけない」

ほめることは良いことだと、ふつうは思いますよね。なぜダメなのでしょうか。

ほめると「上下関係」ができてしまう

ほめるという行為には、ほめる人が上、ほめられる人が下という関係が自然に生まれてしまいます。これを「縦の関係(たてのかんけい)」と呼びます。

すると、ほめられた側の心にこんな気持ちが育ちます。

「もっとほめられたい」

これが強くなりすぎると、ほめられないと何もがんばれない人になってしまいます。本ではこれを「承認欲求の奴隷(どれい)」という強い言葉で表しています。

代わりに使うのが「ありがとう」

おすすめされているのが、感謝することです。

「ありがとう」という言葉は、目上の人にも、小さな子どもにも、だれにでも自然に言えます。

そして感謝には、上下関係がありません。「私たちは対等な仲間だ」という「横の関係(よこのかんけい)」を作ってくれます。

この対等な関係こそが、健康な人間関係の土台になる、というわけです。

5. ここでひとつ、立ち止まって考えてみたいこと

ここまで紹介してきましたが、この本の考え方には反対の見方もできるところがあります。せっかくなので、そこも正直に書いておきます。

承認欲求は「生き残るための本能」かもしれない

この本は「承認欲求を手放そう」と説きます。でも、生き物としての人間を考えると、少しちがう見方もできます。

大昔、人がまだ狩りをして暮らしていた時代。集団から追い出されることは、そのまま死を意味していました。

だとすれば、「みんなに認められたい」「役に立ちたい」と強く感じる人ほど、集団に貢献し、生き残る確率が高かったはずです。

つまり承認欲求は、人間が生き延びるために自然と備わった本能なのかもしれません。そうだとすると、気持ちの力だけで簡単に消せるものなのか、という疑問も出てきます。

完璧を目指さず、「道具のひとつ」として使う

この本の考え方は、人生観をひっくり返すほどの力があります。

それでも、完璧に実践しようとすると、かえって苦しくなることがあります。ほめられたい気持ちを無理やり押さえこみ、誰のこともほめないようにしたら、人間関係はむしろ息苦しくなってしまいますよね。

とくに日本には「ほめて育てる」という文化が根づいています。「たまにはほめられたい」と思うのは、ごく自然なことです。

だから「こうしなければいけない」という絶対のルールとしてではなく、「自分がもっと幸せになるための道具のひとつ」として、合うところだけ取り入れる。そのくらいの距離感が、ちょうどいいのかもしれません。

6.【体験談】この本を読んで、私が変えたこと

ここからは、実際にこの本を読んだ私の話をさせてください。

タイトルが、ふつうと逆だったから

この本を手に取った理由は、タイトルそのものでした。

ふつう私たちは、まわりから嫌われないように気をつけて生きています。それなのにこの本は、「嫌われる勇気」と、まったく逆のことを題名にしていました。

その逆さまの発想が気になって、中身を確かめたくなったのです。

一番なるほどと思ったのは「悩みは人間関係から生まれる」

読んでいていちばん納得したのは、記事の1番で紹介した「人間の悩みは、すべて人間関係から生まれる」という言葉でした。

言われてみれば、たしかにそうだと思います。ひとりきりなら、多くの悩みはそもそも生まれません。

そしてもうひとつ。良い意味で承認欲求を手放すと、自分の人生を生きられるようになるという考え方も、とても腑に落ちました。

人に認められることばかりを追いかけていると、気づかないうちに自分の時間を他人のために使ってしまいます。手放すというのは、投げやりになることではなく、自分の人生を自分の手に取り戻すことなのだと感じました。

正直むずかしいと思ったのは「自己満足でいい」という部分

いっぽうで、素直にうなずけなかったところもあります。

この本の最後のほうに、「自己満足すればいい」「自分は誰かの役に立っていると思えればいい」という考え方が出てきます。

言いたいことは分かります。でも、これはかなり難しいのではないかと思いました。

相手から反応があれば、役に立てたと感じられます。 ありがとうと言われたり、うれしそうな顔を見られたりすれば、自然とそう思えるはずです。

けれど、相手からまったく反応がなかったときはどうでしょうか。それでも自分ひとりで「役に立てたはずだ」と前向きに思いつづけるのは、簡単なことではないと思います。

ここは、読んですぐできるようになる話ではないのだろうな、というのが正直な感想です。

読んだあとに始めたこと:「ありがとう」を多く使う

この本を読んで、実際に変えたことがあります。

「ありがとう」という言葉を、意識して多く使うようにしました。

記事の4番で紹介したとおり、ほめると上下の関係ができてしまいます。でも「ありがとう」なら、相手が誰であっても対等なままでいられます。

小さなことですが、言葉をひとつ変えるだけなので、今日からできます。難しい考え方を全部身につけようとするより、まずここからというのが自分には合っていました。

この本をおすすめしたい人

私がこの本を読んでほしいのは、人の反応や顔色が気になって仕方がない人です。

そして、そのことに疲れてしまっている人にこそ、手に取ってほしいと思います。

この本の考え方を全部受け入れる必要はありません。ただ「こんな考え方もあるんだ」と知っておくだけで、気持ちの逃げ場ができます。

苦しくなったときに思い出せる場所が、ひとつ増える。それだけでも読む価値はあると思います。

7. まとめ:自分の人生の主役は、自分

この本が伝えたいことは、とてもシンプルです。

あなたの人生の主役は、あなた自身である。

過去の失敗や、誰かの評価に、大切な時間とエネルギーを取られる必要はありません。

最後に、学んできたことを3つにまとめておきます。

  1. 目的論:過去のせいにしない。人生は今この瞬間から変えられる
  2. 課題の分離:自分の課題と他人の課題を分ける。嫌われることを恐れない
  3. 横の関係:ほめるのではなく「ありがとう」を使い、対等な関係をつくる

自分の人生という宝物を、つまらない感情やプライドですり減らすのは、もったいないことです。

他人からどう思われるかを気にしすぎず、今この瞬間から、少しずつ歩き出してみてくださいね。

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。

この記事が、あなたの心を少しでも軽くするきっかけになれば、これほどうれしいことはありません。

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Q
心理学の専門知識がなくても理解できますか?
A

はい、物語を読むような感覚で読めます。 本書は「哲人」と「青年」の2人による会話(対話形式)だけで進みます。難しい論文調ではなく、悩みを持つ青年の視点で話が進むため、初心者でもスムーズに理解できます。

Q
タイトル通り、人から「嫌われること」を推奨する本なのですか?
A

いいえ、他人の評価を気にしない「自由」を説く本です。 わざと嫌われるような行動を勧めているわけではありません。「嫌われることを恐れずに、自分の人生を生きる勇気を持つ」という、幸せになるための思考法が書かれています。

Q
Audible(聴く読書)でも楽しめますか?
A

はい、むしろ「聴く読書」に最も適した一冊です。 全編が会話形式のため、まるでラジオドラマや演劇を聴いているような臨場感があります。活字が苦手な方でも、耳からなら飽きずに最後まで楽しめます。

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