「言いたいことがあるのに、怖くて言えない……」 「断りたいのに、また引き受けちゃった」 「あの人、なんだか苦手だなぁ」
学校や会社で、こんなふうに人間関係にモヤモヤしたことはありませんか? 嫌われないようにニコニコして、我慢(がまん)ばかりしているのは辛(つら)いですよね。
でも、もし「誰とでも対等(たいとう)に仲良くなれる魔法(まほう)の道具」があるとしたらどうでしょう? その道具の名前は、「交渉(こうしょう)」です。
「えっ、交渉って、ドラマに出てくる弁護士(べんごし)さんみたいに、相手を言い負かすことでしょ?」 そう思ったあなた、それは大きな間違いです! 本当の「頭のいい人」は、相手と戦ったりしません。 「交渉」を使って、敵(てき)を味方(みかた)に変えてしまうのです。
今回は、東大の大学院で研究された科学的なテクニックをもとに、誰からもナメられず、自分も相手も幸せになれる「最強のコミュニケーション術」をご紹介します。 この記事で世界一やさしく解説(かいせつ)します。 明日から人と話すのが楽しみになるはずですよ!
1. そもそも「交渉」ってなに? 敵じゃないよ、味方だよ!
まず最初に、一番大切なことをお話しします。 多くの人が「交渉=相手と戦って勝つこと」だと勘違(かんちが)いしています。 でも、頭のいい人の考え方は違います。
「交渉とは、二人で協力(きょうりょく)して、困っている問題を解決すること」なのです。
相手は「敵」じゃなくて「パートナー」
例えば、あなたが「お小遣(こづか)いを上げてほしい」とお母さんに頼むとします。 このとき、お母さんは「敵」ではありません。 「僕はお金が欲しい」「お母さんは家計を守りたい」 この二つの願いをどうやって両立させるか、一緒に考える「パートナー(仲間)」なのです。
「どうやって黙(だま)らせてやろうか」と考えると、喧嘩(けんか)になります。 でも、「どうすれば二人とも納得(なっとく)できるかな?」と考えれば、それは立派な「交渉」になります。
2. 戦う前の準備が9割! 「マインドセット」を整えよう
スポーツでも勉強でも、準備運動なしで始めたら怪我(けが)をしてしまいますよね。 人間関係も同じです。誰かと大事な話をする前に、心の準備(マインドセット)をしておきましょう。
① 「絶対に譲(ゆず)れないもの」を決めておく
話し合いをしているうちに、相手の勢(いき)に押されて「まあいいか」と損(そん)をしてしまったことはありませんか? それを防ぐために、「これだけは絶対に守る!」というラインを決めておきます。
例えば、友達から「ゲームを貸して」と言われたとき。 「貸してもいいけど、来週の土曜日までには絶対に返してもらう」というルール(譲れないもの)を自分の中で決めておくのです。 これがあると、自分の心がブレなくなり、堂々(どうどう)としていられます。 これを大人の言葉で「撤退(てったい)ライン」とも言います。「これ以上なら断るぞ」という線引きですね。
② 「交渉の達人(たつじん)」になりきる
「自分は口下手(くちべた)だし……」と自信がない人もいるでしょう。 そんなときは、「演技(えんぎ)」をすればいいのです。 「私は交渉の達人だ!」「私はスーパービジネスマンだ!」と思い込んで、その役になりきってみてください。
実は、「役割(やくわり)を演じる」と、人間はその通りの行動ができるようになるという実験結果(スタンフォード監獄実験など)があります。 自信満々に振る舞うだけで、相手から「おっ、この人はしっかりしているな」と一目置かれるようになりますよ。
3. 相手の心を動かす「3つの心理魔法」
準備ができたら、いよいよ実践(じっせん)です。 人間の心には「ある決まった動き(クセ)」があります。これを知っているだけで、話し合いが驚(おどろ)くほどスムーズになります。
魔法① 「もったいない!」を使おう(サンクコスト)
人間には「今まで時間やお金をかけたものを、やめるのが惜(お)しい」と感じるクセがあります。 これを「サンクコスト(埋没費用)」と言います。
例えば、つまらない映画を見ても「せっかくチケット代を払ったから、最後まで見ないと損だ」と思ってしまいますよね。 交渉でもこれを使います。 「わざわざ遠くから来てもらったしな」「こんなに長く話を聞いてくれたしな」と相手に思わせれば勝ちです。
逆に、自分がこのワナにかからないように注意しましょう。 「ずっと付き合ってきた友達だから……」と我慢する必要はありません。過去の時間(コスト)は戻ってこないので、これからの未来だけを見て判断することが大切です。
魔法② 「お返ししなきゃ!」を使おう(返報性)
スーパーで試食(ししょく)をしたら、「買わないと悪いかな?」と思ったことはありませんか? 人は、誰かに何かをしてもらうと「お返しをしなきゃ申し訳ない!」という気持ちになります。 これを「返報性(へんぽうせい)の原理」と言います。
これを使うコツは、「先に自分から与(あ)えること」です。
- 相手の話を一生懸命(いっしょうけんめい)聞く(メモを取るフリでもOK!)
- 小さな親切をする
- 自分から少しだけ譲(ゆず)ってあげる
これだけで、相手は「こんなに良くしてもらったから、あなたの願いも聞いてあげよう」という気持ちになってくれます。 「ギブ・アンド・テイク」ではなく、「ギブ・アンド・ギブ」くらいの気持ちが最強です。
魔法③ 「損(そん)したくない!」を使おう(プロスペクト理論)
ここでクイズです。 A:コインを投げて表が出たら2000円もらえる(裏ならナシ) B:コインを投げなくても、絶対に1000円もらえる
多くの人は、確実な「B」を選びます。 人間は、「得(とく)すること」よりも「損(そん)すること」を極端(きょくたん)に怖がる生き物なのです。 これを「プロスペクト理論(損失回避)」と言います。
だから、誰かにお願いするときは、「これをやると得だよ!」と言うよりも、 「これをやらないと、こんなに損しちゃうよ!」「今だけしかチャンスがないよ!」 と伝えたほうが、相手の心は動きます。 「離職率(りしょくりつ)が下がって、無駄(むだ)な採用コストがかかりませんよ!」といった言い方ですね。
4. 知らないと損する! プロの裏ワザ・テクニック
ここからは、さらに一歩進んだ「プロの技」をこっそり教えちゃいます。 悪用厳禁(あくようげんきん)ですよ!
その1:おいしいご飯の力を借りる
難しいお願いをするなら、相手がお腹いっぱいの時を狙(ねら)いましょう。 人間は、美味しいものを食べて満たされている時、判断が甘(あま)くなり、「いいよ」と言いやすくなります(ランチョン・テクニック)。 逆に、お腹が空いているイライラした時に話しかけるのは絶対NGです!
その2:苦手な人にこそ「小さなお願い」をする
「あの人、僕のこと嫌いかも……」という人がいたら、あえて「消しゴム貸して」「これ教えて」と小さなお願いをしてみましょう。 相手は、あなたを助けることで「僕は彼を助けた。つまり、僕は彼のこと嫌いじゃないのかも?」と脳が勝手に勘違いを始めます。 これを「認知的不協和(にんちてきふきょうわ)の解消」と言います。 大きな借りは作れませんが、小さな貸し借りが仲良くなるきっかけになります。
その3:とにかくたくさん会う(ザイアンス効果)
仲良くなりたいなら、1回だけ長く話すよりも、短くてもいいから何回も会うことが大切です。 挨拶(あいさつ)だけでもOK。メールやチャットでもOK。 人は、何度も顔を合わせる相手を「味方だ」と思い込み、好きになっていく性質(単純接触効果)があります。 営業マンが何度も会社に通うのは、この効果を狙っているんですね。
5. この交渉術のメリット・デメリット
このテクニックを使うとどうなるのか、良い点と注意点を見てみましょう。
| メリット(良いところ) | デメリット(注意点) | |
|---|---|---|
| 人間関係 | 敵がいなくなり、みんなが協力してくれるようになります。 | テクニックばかり使うと「計算高い人」と思われるかも。誠実(せいじつ)さが大切。 |
| 心 | 「言えなくてモヤモヤ」がなくなり、自分に自信がつきます。 | 相手の気持ちを考えすぎて、疲れてしまうことがあるかも。 |
| 成 果 | 自分のやりたいことが通りやすくなり、損をしなくなります。 | 100%思い通りになるわけではありません(Win-Winを目指すから)。 |
6. まとめ:相手を幸せにするのが「最強の交渉」
「頭のいい人の対人関係」のポイントをおさらいしましょう。
- 交渉は協力プレイ: 相手を打ち負かすのではなく、一緒の問題を解決するパートナーだと思おう。
- マインドセット: 「譲れないライン」を決めて、「達人」になりきって自信を持とう。
- サンクコスト: 「ここまでやったんだからもったいない」という心理を知っておこう。
- 返報性(へんぽうせい): 先に自分から与える(話を聞く、譲る)と、相手も返してくれる。
- プロスペクト理論: 「得する」より「損しない」と言われた方が、人は動く。
そして何より大切なのは、「自分も相手も自由で、幸せになっていい」と信じることです。 テクニックは相手を騙(だま)すためのものではありません。 お互いの勘違いや不安を取り除いて、気持ちよく握手(あくしゅ)をするための「知恵」なのです。
今日から、少しだけ勇気を出して。 「お母さん、ちょっと相談があるんだけど……(美味しいケーキを食べた後に)」 なんて、試してみてはいかがでしょうか? きっと、今までとは違う嬉しい結果が待っているはずですよ!
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました! この記事が、みなさんの人間関係を良くする「お守り」になればとっても嬉しいです。 誰とでも対等に、楽しい関係を築いていってくださいね!
- Q交渉術というと難しそうですが、普通の主婦や学生でも使えますか?
- A
はい、日常のあらゆる場面で使えます。 ビジネスの難しい商談だけでなく、「子供に宿題をさせる」「夫に家事を頼む」「店員さんに要望を伝える」といった、身近な人間関係をスムーズにするための心理テクニックが満載です。
- Q相手を操るようなテクニックで、性格が悪いと思われませんか?
- A
いいえ、むしろ信頼関係が深まります。 本書のゴールは「相手を騙すこと」ではなく、「お互いが納得する解決策(Win-Win)」を見つけることです。相手を尊重しながら自分の意見を通す方法なので、結果的に好感度が上がります。
- QKindle UnlimitedやAudible(聴く読書)の対象ですか?
- A
はい、Audible版も対象です。 相手との会話例なども多いため、音声で聞くことで実際のニュアンスがつかみやすく、通勤・通学中の「耳学習」にも非常に適しています。

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