【要約】「80歳の壁」を超える食事術|70代からは「痩せない」が一番の健康法

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吉村芳弘の著書「80歳の壁」を超える食事術の要約記事のアイキャッチ画像 自己啓発・マインド

 「もう年だから」「健康のためには我慢しなきゃ」—そう思っている全ての人へ。

長生きする秘訣は、頑張りすぎることや、我慢することではないと聞いたら、驚きますか?

 昔の日本では、「スリムでいること」「粗食(そしょく)でいること」が長寿の秘訣だと言われてきましたが、最新の医学研究では、特に70歳を過ぎた方にとって、この考え方は大間違いだということがわかってきました。

 この本『80歳の壁を超える食事術』は、私たちが80歳、90歳になっても、誰にも頼らず、好きな場所へ行き、美味しいものを食べ、笑って過ごせる「健康な時間(健康寿命)」を伸ばすための新しい常識を教えてくれます。

秘密は、「痩せないこと」と、「とにかく食べる」こと、そして「我慢しすぎない」こと。

 この記事を読めば、あなたがこれから迎える老後や、大切な家族の将来のために、今すぐ始めるべき「食べて健康になる」神習慣がわかります。さあ、一緒に常識をひっくり返して、80歳の壁を軽やかに超えるための知恵を学んでいきましょう!

この本ってどんな本?

本の名前「80歳の壁」を超える食事術
書いた人吉村芳弘(よしむら よしひろ)/医師・医学博士
出版社幻冬舎新書(216ページ)
どんな話?65歳を過ぎたら、痩せることより「痩せないこと」が大事。しっかり食べて筋肉と体重を守り、健康な時間を伸ばすための食事の本
こんな人に70代以降のご本人/親の健康が気になる人/メタボ対策をずっと続けている人

著者の吉村さんは、もともと心臓血管外科の医師でした。入院しているあいだにやせ細っていく高齢の患者さんを何人も見て、「手術の腕より、栄養とリハビリのほうが大事な場面がある」と痛感し、リハビリテーション科の専門医に転身したという経歴の持ち主です。いまは熊本リハビリテーション病院で、サルコペニア・低栄養研究センター長を務めています。

【ここだけは注意してください】

この「気にしなくていい」という話は、大きな持病がない人に向けたものです。糖尿病や腎臓の病気などで治療を受けている方、お医者さんから食事の指導を受けている方は、この記事の内容より主治医の指示を優先してください。

本の中でも、著者は医師として、患者さんの状態を見たうえで判断しています。自分に当てはまるかどうか迷ったときは、次の診察のときに「こういう本を読んだのですが、私の場合はどうですか」と聞いてみるのがいちばん確実です。

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1. 知っておきたい!「80歳の壁」と日本の健康の現実

健康でいられる時間には「大きな差」がある

 日本は世界でもトップクラスの長寿国で、男性の平均寿命は約81歳、女性は約87歳です。これは「何歳で亡くなるか」という平均の年齢です。

 しかし、私たちが本当に大切にしたいのは、「健康寿命」(介護や手助けなしに、自分の力で元気に生活できる期間)です。

残念ながら、この平均寿命と健康寿命の間には、大きな「差」があります。

項目男性女性
平均寿命約81歳約87歳
健康寿命約72歳約75歳
差(介護が必要になる期間)約9年間約12年間

 つまり、多くの日本人は亡くなるまでの最後の約10年間を、誰かの介護や助けを借りながら過ごしているという現実があります。この差をできるだけ短くして、最期までピンシャンと生き抜くことこそが、この本の目標なのです。

高齢者を襲う二つの大きな敵:フレイルとサルコペニア

 健康寿命を短くする大きな原因が、「フレイル」と「サルコペニア」です。特にコロナ禍以降、外出や人との交流が減ったことで、この状態になる高齢者が急増していると言います。

  1. サルコペニア:年を取ることで筋肉が減り、日常生活に支障が出る状態です。足に力が入らず転びやすくなったり、階段が登れなくなったりします。転倒して骨折すると、そのまま寝たきりになってしまうリスクが高まります。
  2. フレイル:介護が必要な状態の「予備軍」です。体が疲れやすくなったり、活動的でなくなったり、食欲が落ちたりします。これらは、単に「年を取ったから」と済ませてはいけない、危険なサインなのです。

  フレイルやサルコペニアが進んでしまうと、認知症や寝たきりにつながるリスクが高まります。

 ただ、ここでひとつ、大事なことをお伝えしておきます。

 フレイルは、気づいて手を打てば【元に戻れる状態】です。日本老年医学会も、フレイルには「しかるべき介入により再び健常な状態に戻る」という可逆性(かぎゃくせい)がある、と説明しています。そもそも学会が「虚弱(きょじゃく)」ではなく「フレイル」という言葉をわざわざ選んだのも、この「戻れる」という意味を込めたかったからです。

 だからこそ、そもそもならないように予防することと、なってしまっても早く気づいて手を打つこと。この両方が、80歳の壁を超えるための鍵になります。

2. 常識をひっくり返す!70代からの「食べて太る」食事術

なぜ「痩せちゃダメ」なの?肥満パラドックスの秘密

 若い頃は「痩せている=健康」と考えられ、太らないようにカロリー制限をするのが常識でした。しかし、70歳を過ぎたら話は真逆になります。

 高齢者にとって、痩せていることは健康リスクそのものであり、少しぽっちゃりしている方が長生きするという研究結果が出ています。これを「肥満パラドックス」と呼びます。

  • 糖尿病や脳卒中の治療後でも、痩せている人より、太っている人の方が回復が早いことがわかっています。
  • 高齢者を対象にした研究では、「健康的」とされるBMI 22の人よりも、BMI 25前後の少しぽっちゃりした人のほうが、亡くなるリスクが低いという結果が複数報告されています。

【脂肪は「非常用のお守り」】 なぜ太っている方がいいのでしょうか?それは、体に蓄えられた脂肪が「非常用のお守り(エネルギーの貯金)」になるからです。

 年を取ると、誰もが病気にかかったり、入院したりするリスクが高まります。入院すると、食事が取れなくなったり、手術で体力を激しく消耗したりします。

 この時、もし体に脂肪の貯金(非常用のエネルギー)があれば、治療に体力を使い果たしても、そこからエネルギーを借りて回復することができます。しかし、痩せている人は貯金がないため、すぐに「低栄養状態」に陥り、回復が難しくなって、そのまま寝たきりになってしまうリスクが高いのです。

メタボ対策から「フレイル対策」へギアチェンジ

 若い人(中年期くらいまで)は、生活習慣病予防のために、糖質制限やダイエットをして適正体重を保つべきですが、65歳、遅くとも70歳を過ぎたら、考え方をガラリと変える「ギアチェンジ」が必要です。

  • 若者・中年期:メタボ対策(太らないようにする)
  • 65歳以降:フレイル対策(痩せないようにする)

【メリット・デメリット】

行動メリット(高齢期)デメリット(若いうち)
お菓子や揚げ物を食べる痩せて低栄養になるのを防ぐ。生活習慣病のリスクを高める。
無理な食事制限しなくてよい。痩せてフレイルリスクを上げる。

 著者(吉村氏)は、65歳からは無理に食事制限はしなくていい、肥満も血糖値もあまり気にしなくていいと言い切ります。なぜなら、その年代では、お菓子や揚げ物がもたらす悪影響よりも、痩せていることの悪影響の方がはるかに大きいからです。痩せてしまうくらいなら、好きなものを食べていいのです。


メタボ対策からフレイル対策へ、というイラスト。65歳と書かれた標識のところで道が二手に分かれていて、人生と書かれた車に乗ったおじいさんが、痩せるダイエットの道ではなく、食べる太るの道へ曲がっていく

筋肉の材料!最重要栄養素「タンパク質」を徹底的に食べる

 高齢者が絶対に意識すべき食べ物は、タンパク質です。タンパク質は筋肉を作る材料であり、フレイルやサルコペニアを予防するために何よりも重要です。

  • 高齢者の大半は筋肉不足です。筋肉が多い人の方が長生きする可能性が高く、病気からの回復も早いことがわかっています。
  • 厚生労働省も、高齢者のフレイル予防のためにタンパク質摂取の重要性を明確に指摘しています。

【タンパク質摂取の目安】 ごちゃごちゃと難しく考えず、毎日、肉や魚などのタンパク質を絶対食べると決めてください。

  • 目標量:体重1kgあたり1gのタンパク質が必要です。体重60kgの人なら、1日60g、1食あたり20gです。
  • 20gの目安:納豆1パック(約7g)だけでは足りません。これに、魚一切れ、豆腐の味噌汁などを加えて、ようやく20gにクリアできるくらいです。
  • 食べる順番:血糖値の急上昇を避けるため、まずタンパク質や野菜(副菜)から食べ、最後にご飯などの主食を食べるのが基本です。

 食欲がない時でも、味噌汁の具に豆腐や肉、魚(サバ缶など)を入れるなど、一工夫してタンパク質を摂りましょう。調理が面倒なら、コンビニのサラダチキンや、ちくわ・はんぺんなどの練り製品でも、良質なタンパク質が手軽に摂れます。

卵は1日2~3個食べてもOKです。タンパク質の質が最高で、非常に強い味方だからです。

3. 無理をしない!80歳を軽やかに超えるための生活習慣

料理が面倒でも大丈夫!完璧を求めず「食べる」を優先

 年を取ると、何事も億劫(おっくう)に感じられるようになります。特に、何十年も家族の食事を作ってきた方でも、献立を考え、買い物に行き、調理し、片付けるという一連の作業は、つらい労働に感じられてしまいます。

もし料理が面倒で、その結果食事を抜いてしまうのが一番危険です。

  • 完璧を求めない:料理は「家で手作りしなくてはいけない」という考え(固定観念)は捨てましょう。
  • 合格ライン:スーパーの惣菜でも、缶詰でも、冷凍食品でも、食べられるだけで合格だと思いましょう。
  • 時短アイテムの活用:ツナ缶やサバ缶、練り物を常備しておけば、一品添えるだけでタンパク質が補給できます。

老後2000万円より大切な「健康貯金」とは?

 世間では老後のために「2000万円を貯めましょう」と言われますが、お金があっても健康でなければ、ベッドで寝たきりの状態ではお金は役に立ちません。

65歳から70代は、将来の健康を蓄えるための「ラストチャンス」です。

【健康貯金すべき3つの宝】

  1. 体重貯金:とにかく痩せないように、しっかり食べる。
  2. 筋肉貯金:タンパク質をしっかり摂り、プチ筋トレをする。ウォーキングも良いですが、筋肉を大きくするには少し負荷をかけた筋トレが必要です。
  3. 仲間貯金:一人暮らしでも、誰かと会っておしゃべりをする機会を作り、社交的でいること。

 健康で幸せな高齢者は、ぽっちゃりしていて、朗らかで、お話好きで、病院の待合室でもすぐに誰とでも友達になるような人たちです。ストレスにならない程度に、緩く仲間作りをしておくことが、80歳の壁を超えるために役立ちます。


2000万円より大切、というイラスト。体重貯金、筋肉貯金、仲間貯金と書かれた3つのぶたの貯金箱が並んでいて、男の子が体重貯金にコインを入れている

我慢しすぎない勇気と、病院との付き合い方

 80歳を超えてまで、健康のために「これを我慢しろ」「あれを食べるな」というルールは必要ありません。我慢しすぎると、逆に心身に負担がかかり、寿命を縮めることにもつながります。

若い頃は節制も必要ですが、高齢になったら、もっと自分を喜ばせるための行動をすべきです。

また、高齢になると病院のお世話になる機会が増えますが、その時の心構えも大切です。

【医師に遠慮しない!】

私たちは一般的に、医師に対して遠慮しがちで、言われたことに「はいはい」と頷いてしまい、自分の意見や質問をあまり言いません。しかし、自分の体について受け身になってはいけません。

  • 能動的に医療を選ぶ:どんな治療を望むのか、これからどんな風に生活したいのかを、自分で考えて医師と話し合いましょう。
  • 本音でぶつける:薬が多ければ、「先生、この薬は飲みきれない」と正直に伝えましょう。

4.【体験談】この本を読んで、私が変えたこと

ここからは、実際にこの本を読んだ私の話をさせてください。

老後の健康が、そろそろ他人事ではなくなってきた

この本を手に取った理由は、シンプルに老後の健康が心配になってきたからです。

若いころは、健康の話を聞いても「まだ先のこと」で済ませられました。でも、ある時期から、それが少しずつ自分の話として聞こえてくるようになります。

そのタイミングで、何を知っておくべきなのか。それを確かめたくて読み始めました。

一番なるほどと思ったのは「平均寿命と健康寿命は違う」

読んでいていちばん大きかったのは、記事の1章でも紹介した「平均寿命」と「健康寿命」は別物だという話でした。

正直に言うと、私はこの2つを、どこかで同じようなものだと思っていました。「平均寿命は男性で約81歳」と聞けば、81歳くらいまでは元気に動けるのだろう、と。

でも、実際に自分の力で元気に生活できる期間、つまり健康寿命は、男性で約72歳。そこから約9年の差があります。

この差の意味が、読んでいてじわじわ分かってきました。

もしこの2つを勘違いしたまま年を重ねると、どうなるか。体が思うように動かなくなってから、はじめて「こんなはずじゃなかった」と気づくことになります。

そして、そのときにはもう、打てる手がかなり減っています。

この本がくり返し「今のうちに」と言っているのは、たぶんそういうことなのだと思いました。

読んだあとに始めたこと:好き嫌いをなくしておく

この本を読んで、実際に変えたことがあります。

日ごろから好き嫌いをなくして、何でも食べられるようにしておくことです。

これは、この本を読んでいて「将来のために、いま準備できることは何だろう」と考えた結果でした。

本の中では、高齢になると料理そのものが面倒になり、食べること自体を抜いてしまう人がいる、と書かれています。だから、お惣菜でも缶詰でもいいから食べよう、と。

そこで思ったのです。もし食べられないものが多かったら、その「食べられる選択肢」はさらに狭くなってしまうのではないか、と。

食欲が落ちて、料理する気力も落ちて、その上に好き嫌いまであったら、口に入るものはどんどん減っていきます。

好き嫌いは、若いうちならまだ直せます。選択肢を広げる作業は、元気なうちにしかできない。そう考えて、苦手なものも意識して食べるようにしました。

この本をおすすめしたい人

私がこの本を読んでほしいのは、いま現役で働いている世代の人です。

タイトルに「80歳の壁」とあるので、高齢の方向けの本だと思われるかもしれません。実際、書かれている内容の多くは70代以降に向けたものです。

それでも現役世代にすすめたいのは、老後のことを考えるうえで、知っておいたほうがいいことが詰まっているからです。

健康寿命との差が約9年あること。65歳を境に、正解が入れ替わること。その日が来てから知るのと、20年前から知っているのとでは、準備できることの量がまったく違います。

まだ先の話だと思っているうちに読んでおく。この本は、そういう読み方をしても損のない一冊だと思います。

5. まとめ:もう我慢はしない!食べて動いて80歳の壁を超えよう

 この本は、80歳を過ぎても元気でいるために、若い頃の「我慢の常識」は捨ててしまうべきだと教えてくれました。

最後に、あなたの人生を変えるための3つの行動を約束しましょう。

  1. 太ることを恐れない! 70代以降は、痩せていることこそが最大の敵です。お菓子も揚げ物も、痩せないために食べてOKです。
  2. タンパク質を最優先! 毎日30品目を頑張って取るより、肉、魚、卵を優先して食べることが、筋肉と健康寿命の土台を作ります。
  3. 無駄な我慢はしない! 料理が面倒なら市販の惣菜でいい。病気とわかっても焦らず、薬は最小限にし、トータルで自分の健康を自分で守りましょう。

 特に70代は、健康貯金ができるラストチャンスです。今から意識を変えて、しっかり食べて、プチ筋トレをし、人と交流する時間を大切にすれば、あなたは平均寿命と健康寿命の差を埋め、最期まで笑って楽しめる「無敵の老後」を掴むことができます。

 さあ、今日から「しっかり食べる」という新しい健康習慣を始めて、80歳の壁を飛び越える準備をしましょう!

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Q
何歳から「痩せない」を意識すればいいですか?
A

この本では、65歳、遅くとも70歳が切り替えの目安だとされています。それより若いうちは、これまでどおりメタボ対策(太りすぎない)が大事です。同じ人でも、年齢によって正解が入れ替わるというのが、この本のいちばん大事なところです。

Q
太ると生活習慣病が心配です。それでも食べていいのですか?
A

この本の考え方は「その年代で、どちらのリスクが大きいか」です。高齢になると、生活習慣病のリスクよりも、痩せて低栄養になるリスクのほうが大きくなる。だから食べる、という話です。ただし、糖尿病や腎臓の病気で治療中の方は、必ず主治医の指示を優先してください。

Q
フレイルになってしまったら、もう手遅れですか?
A

手遅れではありません。日本老年医学会は、フレイルには「適切な手を打てば再び健康な状態に戻れる」という可逆性があると説明しています。学会が「虚弱」ではなく「フレイル」という言葉を選んだのも、この「戻れる」という意味を込めるためでした。大事なのは、早く気づくことです。

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