「ねえ、これやっておいて」 「はい、わかりました(本当はやりたくないのにな…)」
学校の係活動や、会社の仕事で、こんなふうにモヤモヤしたことはありませんか? 上からの命令に従うだけ、あるいは「お金をもらっているから」と仕方なく働く。これでは、毎日がちっとも楽しくありませんよね。
実は今、世の中の「チーム」のあり方が大きく変わろうとしています。 これからの時代に求められるのは、「命令」ではなく「共感」で動くチームです。
この記事で紹介する本には、「チームプレー3.0」という新しい考え方が書かれています。これは、誰か一人が偉そうにするのではなく、みんなが主役になって「新しいワクワク(価値)」を生み出す考え方です。
「自分一人で頑張るのは疲れた…」 「もっと楽しく仕事をしたい!」
そう思っているあなたへ。この記事では、本の考え方を、実際に読んだ私の体験談とあわせて紹介します。 さあ、新しいチームプレーの世界をのぞいてみましょう!
この本ってどんな本?
| 本の名前 | チームプレーの天才 誰とでもうまく仕事を進められる人がやっていること |
|---|---|
| 書いた人 | 沢渡あまね(さわたり あまね)/作家・企業顧問 下總良則(しもうさ よしのり)/東北工業大学准教授・デザイナー |
| 出版社 | ダイヤモンド社(2025年) |
| どんな話? | 権力やお金で人を動かすのではなく、立場に関係なくフラットな関係で力を出し合う「共創」のチームの作り方を、ストーリー(小説)と解説で紹介する本 |
| こんな人に | 「やらされ仕事」がつらい人/ほかの部署や社外の人と一緒に仕事を進めたい人 |
本は、化粧品会社の地方の事業所を舞台にしたストーリー(小説)パートと、解説パートの2部構成です。物語の登場人物たちが、さまざまな人と手を組んでいく様子を読みながら、共創のコツを学べます。
1. チームプレーには「レベル」がある?
まず最初に、チームプレーには3つの進化段階があることを知っておきましょう。 著者はこれを「1.0」「2.0」「3.0」と呼んでいます。あなたのチームはどのレベルでしょうか?
昔のチーム(1.0 と 2.0)
- チームプレー1.0(権力・役職スタイル):偉い人(上司・先生)が命令して、下の人が従うスタイル。「つべこべ言わずにやれ!」という世界です。
- チームプレー2.0(お金・契約スタイル): 「お金を払うからやって」という関係。仕事を発注する側と、受ける側に分かれ、上下関係が生まれやすく、対等な関係ではありません。
これらは、言われた通りに動くことが正解でした。でも、これだと「やらされている感」があって、みんなのやる気が出にくいんです。
これからのチーム(3.0)
- チームプレー3.0(共創スタイル): ここが一番大切です! 立場が上とか下とか関係なく、「フラット(平ら)」な関係で、「共に考え、共に動く」スタイルです。
これを「共創(きょうそう)」と言います。 「1+1=2」ではなく、「1+1=3」にも「10」にもなるような、新しい価値をみんなで作り出すことです。
2. 伝わらないのはなぜ?「バナナの叩き売り」をやめよう
チームで動くとき、一番大切なのは「何のためにやるか(ビジョン)」を合わせることです。 でも、ただ「いいものを作ろう!」と言うだけでは、人の心は動きません。
ここで、本の中に書かれている「バナナ」の話を紹介しましょう。
【例え話】バナナをどう売る?
あなたはバナナ屋さんです。バナナをたくさん売りたい時、どうしますか?
- 叩き売り(セリング): 「安いよ安いよ! 今なら半額!」と値段を下げて売る。 → これだと、目の前のバナナは売れますが、お店の利益は減ってしまいます。また、「安くないと買わない」お客さんしか集まりません。
- ファンを作る(ブランディング): 「このバナナを食べると、朝から元気が湧いてきて、仕事がバリバリ片付きますよ!」と「食べた後の幸せな未来」を伝える。 → これを聞いたお客さんは、「それなら定価でも買いたい!」と思ってくれます。これがファン作りです。
チーム作りも同じです。 「給料を上げるから働いて(叩き売り)」ではなく、「この仕事をすると、こんな素敵な世界が作れるよ(ファン作り)」と伝えることで、本当の仲間が集まってくるのです。

3. チームを強くする「3つの魔法」
では、どうすれば「共創(3.0)」のチームになれるのでしょうか? 本の中から、すぐに使える3つの魔法(テクニック)を紹介します。
魔法①:地図を広げる(3方向地図)
自分たちの都合だけで仕事をしていませんか? 「自分(自社)」と「お客さん」だけでなく、「チームのメンバー」にとっても嬉しい仕事かどうかを考えましょう。
- 会社にとって: 儲かるから嬉しい。
- お客さんにとって: 便利になるから嬉しい。
- メンバーにとって: 新しいスキルが身につくから嬉しい!
この「3方向」すべてが「いいね!」と思えるゴールを描くことが、リーダーの大切な仕事です。
魔法②:余白(よはく)を持つ
「忙しい! 時間がない!」 いつも何かに追われているチームからは、新しいアイデアは生まれません。 本では、目の前の成果だけを追いかけるのではなく、未来のことを考えるための「余白(ゆとりの時間)」を持つことが大切だと書かれています。 たとえるなら、コップに水が満タンに入っていたら、新しい水(アイデア)を注げませんよね? 少し隙間を空けておくことで、新しいことを考えたり、小さく試してみたりする時間が生まれます。
魔法③:振り返り(ふりかえり)をする
仕事が終わったら、「はい、終わり! 次!」となっていませんか? これではもったいない! やったこと(体験)を、みんなで話し合って「知恵」に変える作業、それが「振り返り」です。
- 「何がうまくいった?」
- 「何が大変だった?」
- 「次はどうすればもっと良くなる?」
これを話し合うことで、失敗も成功も、チーム全員の「宝物(資産)」になります。 「やりっぱなし」にせず、ちゃんと味わって栄養にするイメージですね。

4. この本のメリット・デメリット
『チームプレーの天才』の考え方を取り入れると、どんな良いこと・大変なことがあるのでしょうか。
| 内容 | |
|---|---|
| メリット | ・「やらされ感」の正体(権力やお金で動かすチーム)がわかる ・ゴールのそろえ方、振り返り、余白など、チームで試せることが具体的に書かれている ・ストーリーがあるので、場面をイメージしながら読める |
| デメリット | ・368ページと厚めなので、読み切るのに時間がかかる ・本でも「成果をすぐに求めない」とあるとおり、効果が出るまでには時間がかかる |
最初は少し面倒に感じるかもしれませんが、急がば回れ。 時間をかけて作った信頼関係は、どんなトラブルにも負けない強いチームを作ります。
5. 実際に読んでみた私の体験談
読んだきっかけ:職場のチームプレーを良くしたかった
今の仕事では、チームプレーが大事だと考えています。そこで、職場のチームプレーをもっと良くしたいと思い、この本を読んでみました。
ひと昔前の職場は、上司が一方的に「これをやれ」「あれをやれ」と指示を出し、「できないのは考えが足りないからだ」というような雰囲気でした。私はそのやり方に疑問を感じていたので、この本でその疑問の答えになるものが得られたらいいなと思いました。
いちばん共感したこと:「何をやるか」を合わせる
いちばん共感したのは、チームで動くには「何をやるか」を合わせることが大事だ、というところです。本でも、第1章で「ゴールイメージを合わせる」ことが取り上げられています。
何ごとも、みんなが同じ目標を見ていないと、進むべき方向がズレてしまいます。向かう方向がバラバラでは、チームとして成り立たないと思います。
読んだあとにやったこと:目標を共有し、部下の考えを聞く
読んだあと、チームに目標を共有するようにしました。そして、その目標について部下がどう思っているかも聞くようにしました。
すると、目標へのアプローチの仕方について忌憚のない意見をもらえたり、今のチームに足りないところが表に出てきたりしました。
もちろん、良いことばかりではありません。後ろ向きな意見も出てきます。それでも、プラスの意見もマイナスの意見も、まずは表に出して共有することが大事だと感じました。そうすることで、「それをどう解決していくか」という話し合いにつなげられるようになりました。
やってみて変わったこと:チームが同じ方向を向いて進めるようになった
意見を表に出して共有することで、チームの中で情報が行きわたり、仕事の進む方向を確認できるようになりました。その結果、チームとして前に進み続けられるようになっています。
この本をおすすめしたい人
チームリーダーはもちろんですが、まだ部下を持っていない人にこそ読んでほしい一冊です。「チームとは何か」「なぜチームを組むのか」というところから知っておくと、将来部下を持ったときに、チームをまとめる助けになると思います。
実際、こうした知識を持たずに、体育会系のやり方や古い知識・経験だけでチームを率いて、残念な結果になってしまったというニュースを目にすることもあります。そうならないよう、上司も部下も満足のいく仕事ができるように、チームをまとめる方法の参考にしてもらいたいです。
チームをまとめるリーダーの習慣については、『トップ5%リーダーの習慣』の要約記事でも紹介しています。あわせて読んでみてください。
6. まとめ:あなたは「オーケストラ」の一員
この本が教えてくれる一番大切なこと。 それは、「違いこそが、最強の武器になる」ということです。
オーケストラを想像してみてください。 全員がバイオリンだったら、迫力ある交響曲は演奏できませんよね? トランペットがいて、太鼓がいて、指揮者がいる。 それぞれが違う楽器(能力)を持っていて、お互いの音を聞き合いながら(リスペクト)、一つの曲を作り上げる。本で言う「チームプレー3.0」は、このように、お互いの違いを力に変えていくチームのイメージです。
あなたの周りには、あなたにないものを持っている人が必ずいます。 「あの人とは考えが合わないな」と遠ざけるのではなく、「その違いが面白い!」と面白がってみてください。
今日からできる小さな一歩。 それは、隣の人に「ありがとう、助かったよ」と声をかけることかもしれません。 あるいは、「これ、一緒にやってみない?」と誘ってみることかもしれません。
その小さな共感の積み重ねが、やがて大きな「天才的なチーム」を生み出すきっかけになるかもしれません。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。 あなたのチームが、笑顔とワクワクでいっぱいになりますように!

- Qビジネスの専門知識がなくても読めますか?
- A
はい、読めます。この本は、ストーリー(小説)パートと解説パートの2部構成です。化粧品会社の地方の事業所を舞台に、登場人物たちがさまざまな人と手を組んでいく物語があるので、場面をイメージしながら読み進められます。
- Qリーダーや管理職でなくても役に立ちますか?
- A
はい、役に立ちます。本では、「できないこと」を周りに伝えてわかり合うことや、自分やメンバーの「その後(キャリア)」をイメージすることなど、立場に関係なく使える考え方も紹介されています。
- Q社外の人や、ほかの部署の人と組むときにも役立ちますか?
- A
はい。本のテーマの「共創」は、社内の人だけでなく、社外や地域の人とも手を組んで新しい価値を生み出すことです。本では、外の世界にいる仲間を見つける「越境」や、複業・兼業の活用なども紹介されています。


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