【要約】なぜ人は騙される?『認知バイアス事典』で学ぶ脳のクセ

※本ページはプロモーションが含まれています

人間関係・心理学

「テスト勉強しなきゃいけないのに、ついゲームをしてしまった…」 「みんなが並んでいるお店だから、きっと美味しいはずだ!」 「あの人は優しそうだから、悪い人じゃないはず」

 日常でこんなふうに思ったり、行動したりしたことはありませんか? あとになって「なんであんなことしちゃったんだろう」と後悔するのは、あなたの頭が悪いからではありません。 実はこれ、脳が勝手に行う「ショートカット(近道)」のせいなのです。

 この脳のショートカットのくせのことを、専門用語で「認知(にんち)バイアス」と呼びます。 今日紹介する本『情報を正しく選択するための認知バイアス事典』は、私たちの判断を狂わせる「60種類の心のクセ」を事典形式で教えてくれる一冊です。

「自分は騙されないから大丈夫!」と思っている人ほど、実は一番危ないかもしれません。 この本を読めば、世の中にあふれるフェイクニュースや詐欺(さぎ)、そして自分自身の思い込みから身を守るための「賢いメガネ」を手に入れることができますよ。

 さあ、不思議な「脳のクセ」の世界をのぞいてみましょう!

この本ってどんな本?

本の名前情報を正しく選択するための認知バイアス事典
書いた人情報文化研究所(監修:高橋昌一郎)
出版社フォレスト出版(2021年4月)
どんな話?人の判断をくるわせる「心のクセ」を60個あつめて、事典の形でまとめた本
こんな人にだまされたくない人/うっかり損をしてしまいがちな人

1. そもそも「認知バイアス」ってなに?

まず最初に、「認知バイアス」という言葉の意味を簡単に説明します。

脳は「サボりたがり」なスーパーコンピューター

 私たちは毎日、ものすごい量の情報を見たり聞いたりしています。 テレビ、YouTube、SNS、学校や会社の会話……。これら全てを真剣に考えて処理していたら、脳みそがパンクしてしまいますよね。

 そこで脳は、エネルギーを節約するために「ショートカット(近道)」を使います。 「過去にこうだったから、今回もこうだろう」「みんながそう言っているから、正しいだろう」というふうに、大まかなパターンで素早く判断を下すのです。

 この機能は、原始時代に敵から逃げる時には役に立ちましたが、複雑な現代社会では、時に「思い込み」や「勘違い」を引き起こしてしまいます。 これが「認知バイアス」の正体です。


2. 【論理のワナ】選択肢は2つだけじゃない!

 この本では、バイアスを3つのグループに分けて解説しています。まずは「論理的(考え方)」なバイアスから、よくある失敗を見てみましょう。

「二分法の誤謬(ごびゅう)」:白か黒か?

 例えば、壺(つぼ)を売りに来た怪しい商人に、こんなことを言われたとします。 「この壺を買えば、あなたは幸せになれます。買わなければ、あなたは不幸になります」

 こう言われると、多くの人は「不幸になりたくないから、買うしかないのかな…」と焦ってしまいます。 でも、ちょっと待ってください。本当に選択肢はその2つだけでしょうか?

  • 壺を買っても不幸になるかもしれない。
  • 壺を買わなくても、幸せになれるかもしれない。

 この隠された選択肢が見えなくなってしまうのが、「二分法(にぶんほう)の誤謬」です。 「賛成か反対か」「敵か味方か」「勝ちか負けか」。 世の中はそんなに単純ではありません。追い詰められた時ほど、「第3の道はないかな?」と探すクセをつけましょう。


2つのドアの前で選んでいるが、実は脇に小さい第3のドアがあるイラスト

3. 【認知のワナ】「あと少しで当たる!」の勘違い

 次は、私たちの「感覚」や「確率」に関するバイアスです。これはギャンブルやお小遣いの無駄遣いに関係します。

「ギャンブラーの誤謬」:運の流れなんてない

 コイン投げを想像してください。 「表、表、表、表」と4回連続で「表」が出ました。 さて、次は「表」と「裏」、どっちが出る確率が高いと思いますか?

 多くの人は「そろそろ裏が出るはずだ!」と考えます。 パチンコやスロットでも、「これだけハズレが続いたから、次は大当たりが来るはずだ」とお金をつぎ込んでしまう人がいます。

 でも、確率は常に「2分の1(50%)」です。 コインや機械には記憶がないので、「さっき表だったから次は裏にしてやろう」とは考えません。 「流れ」があるように感じるのは、人間の脳が勝手に作り出したストーリーなのです。


4. 【社会のワナ】「みんな」って誰のこと?

 最後は、人間関係や集団の中で起こるバイアスです。SNSを使う現代人が一番気をつけたいポイントです。

「バンドワゴン効果」:行列ができるラーメン屋の秘密

お祭りで、2つの屋台が並んでいます。

  • A店:誰も並んでいない。
  • B店:大行列ができている。

 あなたはどちらの焼きそばを買いたいですか? ほとんどの人が「B店」を選びます。「みんなが並んでいる=美味しいに違いない」と思うからです。 これを「バンドワゴン効果」と言います。パレードの先頭の楽隊車(バンドワゴン)にみんながついていく様子から名付けられました。

 でも、実はB店の味は大したことがなくて、ただ単に「作るのが遅いから列ができているだけ」かもしれません。 SNSの「いいね」の数や、流行の商品も同じです。 「みんなが持っているから欲しい」のか「本当に自分が良いと思ったから欲しい」のか、一度立ち止まって考えてみましょう。

「ハロー効果」:見た目にダマされるな

 「ハロー(後光)」とは、仏様などの後ろにある光のことです。 ある人が「すごい特徴(例:イケメン、高学歴、有名人)」を持っていると、その人の性格や能力まですべて素晴らしく見えてしまう現象です。

  • イケメンの詐欺師は、なぜか「誠実そう」に見える。
  • 字がきれいな人のレポートは、内容も賢そうに見える。

 目立つ特徴(後光)に目がくらんで、その人の本質が見えなくなってしまうのです。 「見た目が良いからといって、中身も良いとは限らない」と肝に銘じておきましょう。


自信を持って話している人に後光がさしているイラスト

5. 賢い人ほど陥る?「ダニング=クルーガー効果」

「私、全然できないんで…」と言う人に限ってすごく優秀だったり、逆に「俺に任せろ!」と言う人に限って失敗したりすることはありませんか?

 能力が低い人は、「自分に何ができていないか」さえ分からないため、自分を過大評価してしまう傾向があります。これを「ダニング=クルーガー効果」と呼びます。 逆に、本当に能力が高い人は「上には上がいる」ことを知っているため、自信なさげに見えることがあります。

「自分は絶対に正しい!」「論理的に考えているから大丈夫!」と自信満々の時こそ、実はバイアスの罠にはまっているかもしれません。


6. この本を読むメリット・デメリット

『情報を正しく選択するための認知バイアス事典』を読むことで、どんな変化があるのでしょうか。

   メリット(得られること)デメリット(注意点)
効 果騙されにくくなる:詐欺や広告の嘘に気づけるようになります。
人間関係が良くなる:「あの人が怒っているのは性格のせいじゃなくて、状況のせいかも?」と冷静になれます(基本的帰属の誤り)。
無駄遣いが減る:サンクコストやバンドワゴン効果を知ることで、本当に必要なものにお金を使えます。
考えすぎてしまう:何でもかんでも「これはバイアスだ!」と疑いすぎて、決断が遅くなるかもしれません。
相手を分析してしまう:友達との会話で「それは〇〇バイアスだよ」と指摘しすぎると、嫌われるので注意しましょう(知識の呪縛)。

7.【体験談】この本を読んで、私が変えたこと

ここからは、実際にこの本を読んだ私の話をさせてください。

読んだ理由は「損をしたくない」でした

この本を手に取った理由は、とてもシンプルです。

だまされたくない。そして、それで損をしたくない。それだけでした。

賢くなりたいとか、心理学にくわしくなりたいとか、そういう気持ちではありません。世の中にはうまい話がたくさんあって、そのたびに「これは本当かな」と迷います。その迷いを減らす道具がほしかったのです。

一番ドキッとしたのは「ハロー効果」

60個のクセのなかで、いちばん自分に当てはまると感じたのがハロー効果でした。

正直に言うと、私はこれを「なんとなく感じてしまう」ほうだと思います。頭では「見た目と中身はべつもの」と分かっていても、その場では引っぱられてしまうのです。

読みながら、もうひとつ気づいたことがあります。後光(ごこう)が差して見える人は、たいてい自信もいっしょに持っているということです。

堂々としていて、迷いがなくて、はっきり言い切る。そういう姿を見ると、「この人の言っていることは信用できそうだ」と、よけいに感じてしまいます。見た目の良さと自信が重なると、ハロー効果は二重にかかってくるのだと思いました。

これは、だれかにだまされるときの入り口そのものかもしれません。

読んだあとに始めたこと:「第3のドア」をさがす

この本を読んで、実際に変えたことがあります。

2つの選択肢を出されたとき、すぐに選ばないようにしました。

「やるか、やらないか」「AかBか」。そう迫られたときに、いったん一呼吸おきます。そして、いろいろな方向から見て、第3の選択肢がないかを考えるようにしています。

記事の前半で紹介した「二分法の誤謬(ごびゅう)」が、まさにこれです。読む前の私は、出された2つの中から選ぶことが「考えること」だと思っていました。今は、その2つしかないと決めたのはだれなのかを、先に考えるようになりました。

まだ完ぺきにできているわけではありません。それでも、一呼吸おくクセがついただけで、あわてて決めてしまうことはずいぶん減りました。

この本をおすすめしたい人

私がこの本を読んでほしいのは、これまでの人生で「だまされた」「選択をまちがえて損をした」という経験がある人です。

そして、同じ失敗をくり返してしまっている人にこそ、ぜひ読んでもらいたいと思います。

くり返してしまうのは、意志が弱いからでも、頭が悪いからでもありません。脳のクセを知らないまま、同じワナの前に立っているだけかもしれないからです。

この本には、そのワナの名前と形が60個ぶん書かれています。名前を知っていれば、次に出会ったときに「あ、これだ」と気づけます。その気づきが、毎日の生活を良いほうへ変えるヒントになるはずです。

8 まとめ:自分の脳を「メタ認知」しよう

 ここまで、代表的なバイアスを紹介してきました。 最後に、これらに対抗するための最強の武器を教えましょう。 それは「メタ認知(客観的に自分を見る力)」です。

 自分の心を、もう一人の自分が天井から見下ろしているイメージを持ってください。 「おっと、今私は『みんなが買ってるから欲しい』と思ったぞ。これってバンドワゴン効果かな?」 そう気づくだけで、バイアスの力は弱まります。

【今日からできる3つのアクション】

  1. 「証拠はある?」と自問する:思い込みで決めていないか確認しましょう。
  2. 「反対の意見」も探す:自分の好きな情報ばかり集める「確証(かくしょう)バイアス」を防ぎましょう。
  3. 一晩寝かせる:感情が高ぶっている時の判断は間違いが多いです。時間を置きましょう。

 この本には、他にも「予言が当たったように感じる理由」や「幽霊が見える仕組み」など、全部で60個もの面白い心理現象が載っています。 事典形式なので、どこから読んでも楽しめます。

「自分の脳の取扱説明書」を手に入れて、情報の海を賢く泳いでいきましょう!

 最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。 あなたの毎日が、賢い選択でもっと自由で楽しいものになりますように!


ハンドルを自分で握って自ら自分を操縦しているイラスト

Q
心理学や論理学の難しい知識がなくても読めますか?
A

はい、全く問題ありません。 本書は「事典」というタイトルですが、堅苦しい教科書ではありません。身近な「あるある」事例やイラストを使って、一つひとつの用語を非常に分かりやすく解説しています。

Q
続編(行動経済学・統計学・情報学編)とどちらから読むべきですか?
A

まずは本書(青い表紙)からがおすすめです。 本書が「基礎編」として論理学や認知科学の基本を押さえているのに対し、続編(黄色の表紙)はより専門的な「応用編」となっています。まずは本書で基礎体力をつけるのが良いでしょう。

Q
子供向けに見えますが、大人のビジネスの現場でも役立ちますか?
A

はい、会議やプレゼンの場ですぐに使えます。 「なぜ会議で誤った決定がなされるのか(集団浅慮)」や「なぜデータを見誤るのか」といった事例は、ビジネスパーソンこそ知っておくべき必須教養として厳選されています。

コメント