「テストで悪い点を取って落ち込んだ」 「友達と比べて、自分は何をやってもダメだなぁと思ってしまう」
そんなふうに、自分に自信が持てなくて苦しくなることはありませんか? でも、安心してください。あなたが自分を好きになれないのは、性格のせいでも、能力が低いからでもありません。 「自己肯定感(じここうていかん=自分を大切に思う気持ち)」の正しい育て方を、まだ知らないだけなのです。
この記事では、アメリカのスタンフォード大学オンラインハイスクールの校長先生が、心理学や脳科学の研究をもとにまとめた「自分を好きになる方法」をご紹介します。
読み終わるころには、心が少しフワッと軽くなっているかもしれません。
この本ってどんな本?
| 本の名前 | 全米トップ校が教える自己肯定感の育て方(朝日新書) |
|---|---|
| 書いた人 | 星友啓(ほし ともひろ)/スタンフォード大学オンラインハイスクール校長 |
| 出版社 | 朝日新聞出版(2022年) |
| どんな話? | 心理学や脳科学の研究をもとに、「現実の自分をありがたく思う気持ち」としての自己肯定感と、それを育てる方法を紹介する本 |
| こんな人に | すぐに落ち込んでしまう人/ネガティブな自分を変えたい人/子どもの自己肯定感が気になる親 |
新書なので200ページほどで、短めに読める本です。自己肯定感のしくみから、ネガティブ思考の活かし方、思いやりや感謝の習慣まで、順番に説明されています。
1. そもそも「自信を持つ」ってどういうこと?
私たちがよく勘違(かんちが)いしてしまう、「間違(まちが)った自信」についてお話しします。
テストの点数やご褒美で自信をつけるのはキケン!
「テストで100点を取った!」 「かけっこで1等賞になった!」 「先生や親に褒(ほ)められた!」
こういう時、すごく誇(ほこ)らしい気持ちになりますよね。これを難しい言葉で「外発的(がいはつてき)な報酬(ほうしゅう)」と言います。 でも、この「おまけのご褒美(ほうび)」に頼りすぎるとキケンです。 なぜなら、「次は100点じゃなかったらどうしよう」「もっとすごい子が来たら負けちゃう」と、いつも不安になってしまうからです。 周りの評価(点数や順位)でつくった自信は、シャボン玉のようにパチンと割れやすいのです。
「ネガティブ=悪いこと」は大きな勘違い
「落ち込んじゃダメだ!」「いつでも明るく前向きにいなきゃ!」と思っていませんか? 実は、嫌な気持ちを無理やり押し殺そうとすると、心と体にものすごく悪い影響(えいきょう)が出ることが、科学の研究でわかっています。病気になりやすくなってしまうこともあるそうです。
そもそも「失敗したらどうしよう」「あの人、ちょっと怪(あや)しいな」というネガティブな気持ちは、人間が昔から生き残るために持っている大切なバリア(防衛本能)です。 だから、「あ、いま僕、落ち込んでるな」「悲しいんだな」と、まずは自分の気持ちをそのまま認めてあげることが大切なのです。
2. 本当の「自己肯定感」って何だろう?
では、私たちが目指すべき、割れにくい「本当の自信」とは何でしょうか。 本では、それを「現実の自分をありがたく思う気持ち」と説明しています。 これには2つの大切なパワーがあります。
パワー1:どんな自分にも「マル」をつける(自己受容)
良いところも悪いところも、全部ひっくるめて「これが僕だ!」と受け入れる力のことです。 「算数は苦手だけど、図工は好きだな」 「今日は失敗しちゃったけど、まあいっか」 と、ありのままの自分にマルをつけてあげましょう。 背伸びをせず、等身大(とうしんだい)の自分を受け入れられる人は、ストレスに強く、幸せを感じやすいと言われています。
パワー2:転んでも立ち上がる自分はカッコいい(自己価値)
もう一つは、自分の価値に気づく力です。 例えば、試合で負けてしまったとします。「負けたから自分はダメだ」ではなく、「最後まで諦(あきら)めずに走った自分って、けっこうスゴイじゃん!」と思える心のことです。 結果が出なくても、一生懸命がんばっている自分を「ありがたいな」「誇(ほこ)らしいな」と思えるようになると、心がぐっと強くなっていきます。
3. 研究をもとにした、自己肯定感を育てる4つの作戦
それでは、どうすればその「本当の自信」を育てることができるのでしょうか。 今日からすぐにできる、4つの作戦を紹介します。
作戦1:心にたくさんの「顔(役割)」を持とう
私たちには、いろいろな「顔」があります。 例えば、「学校での生徒としての顔」「家での子供としての顔」「サッカーチームの選手としての顔」「ゲーム仲間の顔」などです。
もし、学校で嫌なことがあって「生徒の顔」が傷ついてしまったら、どうすればいいでしょう? そんな時は、「サッカーでパスがうまくできたぞ(選手の顔)」や「お母さんの手伝いをしたぞ(子供の顔)」と、別の顔を褒(ほ)めてあげるのです。 一つしか顔がないと、そこで失敗した時に逃げ場がなくなってしまいます。いろいろな役割を持つことが、心を守るクッションになります。
作戦2:人への「優しさ」が自分を救う(心のメーター)
人間には「心のメーター(ソシオメーター)」という目に見えない機械がついています。これは「自分は周りのみんなから、どれくらい受け入れられているかな?」を測る機械です。 このメーターの数値が高いと、自己肯定感が上がります。
では、どうすればメーターが上がるのでしょうか? 一番簡単な方法は、「人に優しくする(親切にする)こと」です。 困っている人に道を譲(ゆず)ったり、落ちているゴミを拾ったり。実は、相手から「ありがとう」と言われなくても大丈夫なんです。 「自分は人に優しくできたぞ」と自分で思うだけで、脳は「僕はみんなの役に立っているんだ」と感じて、心のメーターがぐんぐん上がります。
作戦3:嫌な気持ちと距離をとる「もう一人の自分」
嫌なことがあってイライラしたり、落ち込んだりした時は、頭の中にもう一人の自分を呼び出しておしゃべりしてみましょう。 「あ、いま僕、すごく怒ってるな」 「なんで悲しいのかな?」 と、空の上から自分を見下ろすような感覚です(これをディスタンシングと呼びます)。 こうすることで、ネガティブな感情の波に飲み込まれず、冷静に物事を考えられるようになります。
作戦4:寝る前の魔法「今日あった3つのいいこと」
夜寝る前に、今日あった「いいこと」を3つ、ノートに書いてみましょう。 「給食のカレーが美味しかった」 「いいお天気だった」 「帰り道に可愛い犬を見た」 どんなに小さなことでも構いません。毎日これを続けると、脳が勝手に「いいこと」を探すようになり、感謝の気持ちが生まれ、どんどん心が前向きになっていきます。
4. この方法のメリット・デメリット
科学的に自己肯定感を育てる方法について、良い点と注意点をまとめました。
| メリット(良いところ) | デメリット(注意点) | |
|---|---|---|
| 心 | 誰かと比べないので、周りの目を気にせず、安心していられる時間が増える。 | ネガティブな自分を受け入れるのには、最初は少し勇気がいる。 |
| 行動 | 失敗を恐れなくなり、新しいことにチャレンジできるようになる。 | 「すぐに自信満々になれる魔法」ではないので、毎日少しずつ続ける必要がある。 |
| 人間関係 | 人に優しくできるようになるので、まわりとの関係が良くなりやすい。 | 自分の役割(顔)を増やしすぎて、忙しくなりすぎないように注意。 |
5. 実際に読んでみた私の体験談
読んだきっかけ:ネガティブな気持ちを「それでいい」と思いたかった
誰でも、ネガティブな感情が芽生えることはあると思います。それを「良いんだ」と思わせてくれる内容だったらいいな、という思いから、この本を読んでみました。
ネガティブな気持ちが生まれても、心配することはないと思えたら良いなと思ったのです。
いちばん共感したこと:周りの評価で作った自信は、シャボン玉のように弾けやすい
周りからの評価で自信を深めるのは、やめようと思いました。
他人ありきの自信を持ってしまうと、いつも誰かの評価を気にするようになり、自分で自分をほめることができなくなります。周りの評価で作った自信は、シャボン玉のように弾けやすいのです。
読んだあとにやったこと:頑張った過程を「良し」とする
100点は目指します。でも、まずは自分が頑張った過程を「良し」とするようにしました。
やってみて変わったこと:気持ちが楽になり、人にも優しくなれた
人からの評価よりも、自分の内側から出てくるものに、達成感や自信を感じられるようになりました。そのおかげで、気持ちが楽になりました。
また、人への接し方も、いくぶん優しく、余裕を持って対応できるようになったと思います。
この本をおすすめしたい人
一生懸命やることは、すばらしいことですし、やるべきことです。でも、それを人に認めてもらうことや、ほめてもらうことにこだわっている人もいると思います。
そんな人には、一度この本を読んで、ちがう考え方もあるということを感じてもらいたいです。
自己肯定感や自信については、『鋼の自己肯定感』と『「本当の自信」を手に入れる9つのステップ』の要約記事でも紹介しています。
自分で自分をよろこばせる毎日の習慣は、『自分をよろこばせる習慣』の要約記事で紹介しています。
6. まとめ:あなたはあなたのままで素晴らしい
今日学んだポイントをおさらいしましょう。
- 間違った自信を捨てる: テストの点数や他人との比較で作った自信は壊れやすい。
- ネガティブを許す: 落ち込む自分を責めない。ネガティブは生きるための大切な機能。
- ありのままを受け入れる: 良いところも悪いところも、全部含めて「大切な自分」。
- 科学的な作戦を使う: いろんな顔を持ち、人に優しくし、寝る前にいいことを3つ思い出す。
「自分なんてダメだ」と思ってしまうのは、脳の使い方のコツを、まだ知らなかっただけかもしれません。 あなたは、いるだけで価値がある素晴らしい存在です。 完璧(かんぺき)にならなくていいんです。失敗してもいいんです。
今日から、おまけのご褒美に頼るのではなく、自分の中にある「優しい心」に栄養をあげてみてください。 寝る前に「今日も一日がんばったな」と自分に微笑(ほほえ)みかけるだけで、あなたの心のメーターは、少しずつ上がっていくはずです。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。 この記事が、あなたが自分をもっと好きになり、毎日を楽しく過ごすためのヒントになればとっても嬉しいです。 あなたの心が、いつもぽかぽかと温かくありますように!
- Qアメリカの大学の研究と聞くと難しそうですが、専門知識がなくても読めますか?
- A
はい、専門知識がなくても読めると思います。心理学や脳科学の研究がもとになっていますが、身近な例を使って説明されているので、読み進めやすい本です。
- Q子育て中の親向けの本ですか? 大人が自分のために読んでも役立ちますか?
- A
はい、大人が自分のために読んでも役立つと思います。子どもへの接し方だけでなく、自分自身をどう受け入れるかという自己肯定感の育て方が書かれているので、仕事や人間関係に悩む人にも参考になります。
- Q忙しくて読む時間が取れるか不安です。Audible(聴く読書)の対象ですか?
- A
はい、Audibleでオーディオブック版が配信されています(再生時間 約2時間58分)。新書なので本でも短めですが、家事や通勤の時間に耳で聴くこともできます。


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